脳内科医Jのブログ

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【仕事】DOACs服用者の未破裂脳動脈瘤に対するステント支援下コイル塞栓術

頭蓋内ステント留置に際して、一定期間のDAPTが必要となる。

しかし、AfのためにDOACs内服しているケースでは、一定期間はDOACs+DAPTの3剤併用とならざるを得ない。その場合は出血リスクと血栓リスクのバランスを考慮して、3剤併用期間を検討することになる。

これに関して、脳血管内治療領域では指針は出ていないが、循環器内科学会からガイドラインで指針が示されており、参考になる。

 

以下、「2020年 JCSガイドライン 冠動脈疾患患者における抗血栓療法」より抜粋。

 

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これらを参考に、3剤併用期間を検討するのは妥当かと思う。

東アジア地域(日本も含む)では、欧米よりも出血リスクが高く、血栓リスクは低いことが示されており、出血リスクを優先して抗血栓薬を検討するのが妥当と、このガイドラインで明記されている。これを「east asian paradox」というらしい。

 

ただ、HBRあり、DOACsありの場合、3剤併用期間が2週間以内となっているが、頭蓋内ステントの場合、これはあまりにも短く、血栓リスクが高まるように感じる。

脳血管内治療分野では、経験的には、3剤併用期間を2-3か月程度のしていることが多いように思う。