脳内科医Jのブログ

実りある人生のために

【仕事】年始そうそう

去年末の最終週に、担当患者さん2名の状態が悪くなり、年末年始の1週間、毎日出勤していました。おかげさまで、その2名の患者さんの状態は快方に向かい、胸をなでおろしています。

今年に入ってまだ5日ですが、すでに脳血栓回収術症例が2例ありました。

 

1月2日、左)M1閉塞。術前DWIでは左)線条体~放線冠の虚血巣で、M1-ATBIか?というつもり回収にいきました。脳外科のレジデント1年目のDrに手技をやってもらいました(彼の初血栓回収手技)。DSAでのM1の閉塞部は塞栓を思わせる形状。Solitaire 6*40、1pass、TICI 2bでした。EDTでM2 distalに閉塞あり、ここを3MAXで2 passしたがfailure。結局、TICI 2bで終了。典型的なM1塞栓にしては、皮質領域は虚血巣なく、穿通枝領域のみの虚血巣だったのはなぜだろうかと疑問が残りました。ESUSとして対応することに。

 

1月5日、左)M2 posterior branch閉塞。前出の脳外科のレジデント1年目Dr、脳外科専門医を持ってる9年目のDrに助手をしてもらって、自ら回収手技をしました。8Fr Optimo / React 68 / CHIKAI std 14でいって、TrevoNXT 4*41mmで回収し、1pass、TICI 3でした。P2R=20minとなかなかの早期再開通を得ました。

この症例は昼間で、スタッフも揃っていたので、もともとのやり方とは変えて、とにかく時間短縮を企図しました。door→CT→IV-tPA→MRI→MTという流れで、D2N=30min、D2P=90minという感じでした。

今の病院での、もともとのワークフローだと時間かかってました。今の病院に入職して10か月目となり、これまではもともとのやり方に倣っていましたが、そろそろ変えるべき点は変えていく方向にしたいと思っています。幸い、脳外科スタッフ、ER看護師、放射線技師などの関連スタッフは協力的な方々が多いので、脳卒中センターとして、院長の仰る「CSC」を目指す上でも、さらにレベルアップできるように尽くしたいと思います。

 

仕事の上での、2021年の短期目標は、

・急性期脳梗塞初療のワークフローをブラッシュアップする。そのためにスタッフ間の協力体制、役割分担を徹底し、知識を共有する。

・回収血栓の病理組織評価についての論文投稿する。院内にカメラ付き顕微鏡を導入してもらう。

とりあえず、これらを目標に今年も頑張ります。