脳内科医Jのブログ

実りある人生のために

【仕事】新ステント「CASPER」初体験

 今月はIVR症例が比較的多く、緊急治療も予定治療もまんべんなくできています。

 今日は、新しいCAS用ステント「CASPER」を初めて使用しました。数年前に所属していた施設で、国内治験に参加させていただいていたので、楽しみにしていたデバイスです。

 症例は62M、症候性)左)ICA狭窄、NASCET=82%。石灰化はごく軽度、ソフトプラークでした。狭窄部のjust distalが90度屈曲し、ややshrinkageしていました。手技はBGCで近位protection下、FilterWire EZでlesion crossing。pre-PTA後、CASPER 8*30mmを留置、post-PTAしました。狭窄部遠位の屈曲部はかなり直線化し、狭窄部はNASCET=8%くらいまでかなり拡張しました。CASPERはbladed stentなので、留置の際にpush & fluffのような展開の仕方をしますが、最後の方でシステムプッシュした際に思った以上に拡張されました。

 今日の初使用の経験から考えるCASPERの利点をまとめると、

①血管の直線化効果が強いので、屈曲病変にもいい。直線化効果は、Wallstent>CASPER>open stentのようです。ステント両端のフレア周囲が硬いことが、血管のstraightening効果が強い理由だそうです。ただ、このため血管のアコーディオン現象を起こしやすいのは欠点になります。

②tipが柔らかいので、屈曲病変でも誘導しやすい。Preciseなどはtipが硬く、屈曲部で引っかかって誘導困難なケースを経験しますが、そういう場面では良さそう。

③何度でもリシースできるので、ステントの位置調整を何度もできること。

④これは欠点ですが、、、push & fluffで展開するので、拡張具合を調整できますが、radial forceは強くないので(bladedなので)、石灰化病変では十分な拡張は得られないかもしれない。

 以上より、CASPERは、屈曲病変で、石灰化の強くない、ソフトプラークが良い適応になるのではないでしょうか。と思いました。