脳内科医Jのブログ

実りある人生のために

【仕事】自己犠牲

 以前の投稿で、石原慎太郎さんと三島由紀夫さんの対談で、男の最高の美徳とは自己犠牲と話されたエピソードを書いた。

 自己犠牲。夫として、父親として、仕事人としてなど、様々な場面がある。

 今の職場での看板は「神経内科」。何が専門だろうが「内科医」だ。ただ、自分の医師としての経歴上、通常の内科医とは全く違うキャリアを積んできた。

 今の時点で、9年が神経内科医、4年が脳神経外科医として研鑽を積んできた。9年の神経内科医の中でも純粋に神経内科医としての期間は5年、あとの3年は「脳卒中内科」として仕事をしてきた。つまり、脳神経外科医としての期間を合わせて、7年は脳血管内治療を主体とした急性期脳卒中診療を生業としてきた。

 純粋な神経内科医5年、脳神経外科脳卒中内科医7年。

 あと1年は、2020年4月に入職した今の職場だ。今の職場では、脳血管内治療を主体とした急性期脳卒中診療を主体としてはいるが、一方で、神経内科医師、一般内科医師としての業務も課せられている(雇用契約の時点ではそこまでの話はなかったが)。これまでの環境が恵まれていて、専門領域に特化できていたのだが、人員の関係で、特化することは難しい。

 神経内科診療、一般内科診療をすることは、当たり前といえば当たり前だが、神経内科診療はともかく、一般内科診療は、これまでの医師人生で担ったことがない。強いて言えば、初期研修医のときくらいだろうか。ただ、やろうと思えば、できないわけではないだろうとは思っている。

 今の職場は、とにかく「内科」がかなり脆弱だ。内科医としては6名、うち4名はもともとは外科医、1名は自分、もう1名は生粋の神経内科医師。この6名で、内科救急、内科外来を回すわけなので、とにかく忙しい。1人でも減ると、かなり痛手だ。

 そんな中、一応内科医としてアテにされている私が抜けるのは、さすがに困るだろう。しかし、自分は、内科救急や内科外来に加えて、脳外科救急、脳外科当直、急性期脳卒中の緊急カテーテル24/7オンコールもやっている。

 「自己犠牲」という言葉当てはまるか分からないが、自分のやりたい専門領域以外にも、病院や同僚医師のためにも、内科医師としてのお手伝いもやっていくことは当然だろう。一方では、内科診療の経験を積めることは、今後のキャリアにも生きてくるだろうという期待も持っている。

 この1年、こういう環境にモヤモヤした気持ちを持っていたが、今年は、内科医としての仕事、それ以外でも、仕事上のすべてのことにはなるべく「喜んで!」というスタンスで臨もうと決意している。あの先生に頼めばやってくれる、大丈夫という周囲への安心を与えることが、信頼を得ることにつながると信じている。